2015年5月24日日曜日

フリゲRPG「イストワール」:物語を巡る物語

 前回の続き。今日は「イストワール」の紹介です。

 イストワールはt-k氏が発表されたダンジョン探索型のRPG。ある館に集められた7人の英雄と主人公が、世界が崩壊してゆく原因を追って世界各地を冒険してゆくという内容です。主人公たちの拠点である館はさまざまなダンジョンと繋がっており、扉を開けると船の墓場だったり砂に埋もれた街だったりします。マップ作りはとても美しく、世界観も素晴らしくて非常にワクワクする内容です。


 ですがこのイストワール、難易度ははっきり言って相当高いです。ダンジョンは広くて複雑、敵も強い上、時限イベントで敵が強化されます。更にラストバトルに辿り着くためのフラグ立てには、プレイヤーが深く物語を理解してなくてはいけません。初心者が見落とすようなポイントが多く、RPGファンに挑戦したような内容になっています。凄い作品です。(一応初心者救済要素はあります)。個人的には今までプレイしたRPGでトップクラスの難しさだったと思います。正直クリアできたのは、分からないところを攻略サイトに頼ったから…。

 そんなゲームですが、やはり最大の魅力は世界観と物語と言えます。本作には【イストワール】と呼ばれる、世界の創世から現在までを綴った書物が存在しています。普通のRPGならただのバックストーリーでしかありませんが、このゲームでは物語の根幹であり、すべての伏線が集約したものなのです。その文章に何気なく書かれていた部分に、最終決戦攻略のためのヒントが隠されていたり、登場人物たちの意外な正体が隠されていたりします。このイストワールを読み取ってゆく事自体がゲームの目的であり、その結果がエンディングに繋がってゆきます。まさに「物語を巡る物語」と言えます。シナリオ面から見ても非常に構成力が高く、かつユニークですね。

 壮大な世界観を語ろうとすると、どうしても饒舌になってしまうのが常です。それをあえて情報を制限・断片化し、プレイヤーが積極的に読み取らせるようにしたことで、想像力に訴えかけて心に残る物語になっているのです。この作りはお見事!!心折れそうになりながらもクリアした甲斐がありました。

 非常に魅力のあるゲームですが、欠点も挙げときます。一部のマップがあまり意味なく長かったり広かったりするエリアがあります(特にアトランティアや時の奇蹟など)。とにかく歩行距離が多いのに、トラップ付きの宝を取るために再度訪れる必要があるのが辛かったですね。また、通路の入口で敵シンボルがわらわら群がって邪魔するのもキツかったです。ここらへんはネフェシエルのほうが一枚上手に感じました。(あっちには逃走後の連続エンカウントの問題があるけど・・・)。それも含めて高難易度なので、プレイする方は覚悟してしてください(笑)。RPG初心者?(ヾノ・∀・`)ムリムリ


 と、まぁこんな感じです。ネフェ・イスト・まももとプレイしてきて、自分のRPGのレベルも上がったような気がします。なんだか遠いところまで来てしまったような気もします…。また気になったものがあったらフリゲ・コンシューマ問わず紹介するのでヨロです。

2015年5月23日土曜日

「ネフェシエル」「イストワール」「魔王物語物語」:プレイヤーを惹きつける迷宮の魔力を読み解く

 どうも、ノンジャンル人生です。
 最近は暑いですね。5月だとは思えない気温です。そのうち雨の季節で滅入るかもしれませんが、できるだけ楽しいことをしたいですね。

 で、このたびフリーゲームRPG「イストワール」をクリアしました!「ネフェシエル」「魔王物語物語」を立て続けにプレイして、これをやらないのはもったいない!という気持ちになったのでプレイした次第です。いや~、お疲れさまでした。古参のフリゲRPGユーザーなら知っていると思いますが、このイストワールはネフェシエルの姉妹作であり、魔王物語物語に大きな影響を与えたゲームです。フリゲダンジョン探索型RPG三部作(勝手に命名)とされる作品の中でも、最もボリュームのある作品ではないでしょうか?

 イストワールの紹介はまた後日行うとして、今回はこの三作の魅力を紹介しようと思います。名作とは名高くても、古い作品・難しい作品と聞いて手を出していない人もいると思います。そんな人向けにゲーム内容を解き明かしつつ、その背景を考察しようと思います。ちょっと長文になるかもしれませんが、気楽にお付き合いくださいm(_ _)m





 簡単な説明をすると、これらのRPG達は普通のRPGとは遊び方が違います。例えばドラクエFFなどの有名作だと、

まず街などの拠点で装備を整える

ストーリーやクエストで指示されたダンジョンヘ向かう

敵を蹴散らして目的を達成する

次の目的が指示される

繰り返し・・・

という感じだと思います。しかし、イストワールなどではこれらのルール通りにプレイすると大抵挫折します。まず根本的に雑魚モンスターが強いのです。基本的にダメージが大きいので手当たり次第戦闘を繰り返すと回復手段が尽きるようなバランスになっています。そのためプレイヤーにはいかに敵との戦闘を避けるかが要求されます。これらのゲームではシンボルエンカウントが採用されており、マップ上の敵の動きを見切れれば避けられるようになります。ダンジョンには他にもたくさんのトラップが仕掛けてあり、プレイヤーが油断すれば簡単にゲームオーバーになる作りになっています。

 ここまでの話だけ聞くと、「そんな難しいダンジョン潜って何が楽しいの」って声が聞こえてきそうです。しかし、ダンジョンには一般的なRPGとは比べ物にならないくらい大量の装備品が設置され、レベルアップのステータスよりも装備の能力上昇値が優遇されています。また、属性や状態異常耐性が綿密に設定されているので、大量の装備にそれぞれ重要な価値があります。結果、危険を冒してダンジョンに潜れば潜るほどプレイヤーキャラが強化されてゆくのです。更にダンジョンにはたくさんの隠し部屋があり、それらを発見した時の嬉しさはなかなかのものです。それ故に無謀にもダンジョンに突撃し、ぎりぎりのところで帰ってこれなくなったプレイヤーが後を絶ちません。しかしそれでも再び挑みたくなるほど魅力がこれらのダンジョンにはあります。名作と呼ばれる所以がそこにはあります。(ちなみに魔王物語物語は属性がなく独自の戦闘ルールになっているので、他の二つとは違ったゲームバランスになっています)。


 また、自由に進められる物語も魅力のひとつです。三作とも特徴として「あっちを行け」「こっちを行け」という指示は少なく、移動の制限もゆるやかです。そのためプレイヤーが自分でルートを考えて攻略する楽しさがあります。イストワールは三作の中でも特にその傾向が強いですね。

 そして物語のもう一つの特徴として「断片的な話をプレイヤーが自ら拾い上げ、考察させる」という面があります。これらの作品では誰かが長々と世界観を語ったりはしません。あらゆる情報は出どころが限られ、断片的に示されます。プレイヤーはそれらを自らの頭で整理していくこととなります。どの作品も世界観が非常に深く、考察すればするほど物語の深みにはまってゆきます。ただし,一般的なRPGのようにゲームを進めさえすれば物語を順当に見れるものと勘違いすると、イベントが少なくてがっかりしてしまうかもしれません。


 確かにこれらはとっつきにくいゲームです。誰もが楽しめるゲームではないですし、ルールが分からずにすぐやめた人結構もいると思います。しかしそれでも未だ名作として語り続けられているのには理由があります。それはこれらのゲームが一般的なRPGのカウンターパンチとして存在していたからではないかと私は思うのです。

 ネフェシエル発表当時は2002年。PS2でファイナルファンタジーⅩが発売された翌年です。RPGは高グラフィック化し、イベントデモやムービーを多々使った「見せる」物語が流行しました。これらはRPGの人気を更に推し進め、RPGはゲーム界の頂点に君臨していました。しかし一方で、古典的RPGにあった自由な探索や情報収集の要素は鳴りを潜め、映画に近い内容に違和感を感じたプレイヤーもいたはずです(それでもFFⅩは名作ですけどね)。そういったゲーマーが向かった先は、当時まだ一般に普及してなかったインターネットです。マイナーな人が集まって面白いことをする世界であったインターネットで、フリーで遊べるRPGが発表され、普及しているRPGから削ぎ落とされた魅力がそのゲームにあったとしたら。ある意味絶妙なタイミングで発表されたからこそ、これだけ語り継がれたゲームになったのだと思います。(当時の状況はあくまでも予想です。実際ver.2.0以上更新されていることからも、紆余曲折があったのだと思います。ここらへんは古参ユーザーにぜひ聞いてみたいですね)

 ネフェシエルが作り出したカウンターパンチはイストワールに、イストワールから魔王物語物語に引き継がれ、現在のフリゲに多大な影響を与えました。インターネットが一般に普及し、実況動画でフリゲが多く注目される今、これらのゲームはフリゲ界に礎を築いた立役者でもあります。(イベントが少なく画面に華がないので、これら自体は実況向けではないですが・・・)。確かに市販のRPGより難しく粗もありますが、ここでしかない体験が確かにあります。フリゲなので合わなかったら辞められるだけの懐の広さもあります。もしも興味が出たら、ぜひ今すぐやり始めましょう。冒険があなたを待っています。

(ちなみに更に歴史を辿ると「禁術と呼ばれる術」というゲームにたどり着くそうですが、如何せんRPGツクール95と古すぎるのが難点・・・)

次回、イストワールに続く・・・

【おまけ】
モグラゲームさんの紹介記事
定番!おすすめフリーゲームRPG作品13選

ゲームダウンロード先のリンクもこちらからどうぞ。

追記:ネフェのダウンロード先なかったんでリンク貼ります。
Nepheshel紹介ページ - Studio Til



2015年5月9日土曜日

RPGツクールXPイベント向け加工素材を配布します

【更新履歴】
・7/18 1素材を追加(魔法陣・クリスタル・精霊2)、
     松明の名前を変更して、インポートするだけで差し替わるようにする
     素材利用規定の文章を一部変更(RPGツクールシリーズ→RPGツクールXP)
・5/9   ページ制作、8素材を追加

◯この素材について
 RPGツクールXPのRTP素材はとてもドットが美しいですが、タイルセットごとに分けられているため使い勝手が悪いです。本素材はRTPのマップチップから画像を抜き出して、イベント用にまとめたものです。こちらをイベントとして配置すると、本来は置けないマップにも使うことが出来ます。ツクールXPユーザーの方はぜひ有効に活用してください。

◯使い方
 RPGツクールXPのマテリアルベースを開き、Graphics/Charactersのインポートを選択し、本素材ファイルを選択してください。

※素材利用規定※
この素材はRPGツクールXPのRTP素材を改変したものです。RTP素材はRPGツクールXPでのみ利用が可能となっております。そのため自作プログラムや他のツールでの使用を一切禁じられております。また、素材の再配布、有償配布も同様です。使用に関して問題が生じた場合、加工者は一切の責任を負いませんのでご了承ください。

ツクールシリーズ利用規定

 ちなみにリクエストは受け付けていないのであしからず。追加は気が向いた時だけなので期待しないでください。

2015年5月5日火曜日

シンボルエンカウントを作るときに気をつけること

 どうも、ノンジャンル人生です。
 前回のまとめ通り、RPG作りは一応進んでます。それでも手を付けない期間も長く、制作速度は早くなったり遅くなったりを繰り返しています。目標は今年完成ですが、ダンジョン数が多いのでどうなることやら・・・。

 で、今回はシンボルエンカウントのことです。この話はツクール・ウディタなどのRPG制作ソフト向けの話ですのであしからず。


 まずシンボルエンカウントってなんぞやの話から。分かる人は読み飛ばし推奨。

 RPGにはまず2種類タイプがあります。フィールドから戦闘画面に切り替わるものとフィールドでそのまま戦闘が始まるものです。前者はコンピュータRPG黎明期からあったもので、後者はアクションRPGやMMO、最近のオープンワールド系でよく採用されるものですね。
 更に画面切り替えのある戦闘は、敵との遭遇の仕方が2種類あります。フィールドを移動していると突然見えない的に襲撃され戦闘が始まるタイプ「ランダムエンカウント」と、フィールドにいる敵のシンボルに接触すると戦闘が始まるタイプ「シンボルエンカウント」です。(他にも色々細かな種類があるかもしれないがココでは割愛)

 国内RPGのエンカウントの方式は長い間ランダムエンカウントが主流でした。ドラクエ、FFがまずこのタイプでしたし、多くの方が疑問を抱かなかったと思います。ただこのランダムエンカウント、戦闘をできるだけ飛ばして進みたいときには非常に面倒なシステムです。それに対して好きなときに戦闘をしたいというユーザーの気持ちに答えたのがシンボルエンカウントです。これを早くから採用していて有名なのがサガシリーズですね。最新のドラクエ7リメイクでもこのシステムを採用していたので、ランダムエンカウントは今後淘汰されていくと思います。カジュアル路線だとシンボルエンカウント、ハイエンド路線だとフェールド切り替えなしに進んでゆくでしょう。

 ただシンボルエンカウントは気をつけて作らないと、ランダムエンカウント以上にプレイヤーをイラつかせる原因になってしまいます。制作者はよく考えて作らなければいけません。僕がRPGを作っていて気をつけていることを書こうと思います。


【マップの広さと数】
 ロマサガ1のフィールドのシンボル数は圧巻です。物凄くワラワラしていて、まさにモンスターの巣という感じです。生態系も描けるのがシンボルエンカウントの魅力だと思います。しかし、目的地に向かうだけなのにどんどん連続で戦闘になったらさすがに萎えます。数は多ければいいというわけではありません。プレイヤーが移動するルートを考え、ときに逃げ道を設定する必要があります。狭い道ならばなおさらです。少し余裕があるくらいがちょうどいいと思います。数が厳しい道を作る場合は、それ相応の武器を手に入れられるなどのメリットを持たせたいところです。

【シンボルの動き】
 ツクールだと、シンボルの動きを結構自由に動かせます。最も手っ取り早い処理は、「ランダムに動く」、「プレイヤーに近づく」ですが、使いようによっては狭い入り口にモンスターが群がって自由に進めなくなります。例えば空欄イベントでシンボルを囲って、移動範囲を設定するのも手です。細かな移動設定をするならば、「プレイヤーの方を向いてまっすぐ突撃してくる」、「ゆっくり動くが突然近くにワープする」、などアイデア次第で面白い動きを設定する事ができます。ただし、シンボルの動きがプレイヤーより早いのは悪手です。絶対逃げられないために回避する楽しさが削がれ、進むのがただただ苦痛になるでしょう。

【袋小路に気をつける】
 マップによっては逃げ場のない袋小路が生まれることがあります。マップの行き止まりのところにいるとき、追ってきた敵が道を塞いで戻れなくなることがあります。こうなるとすべての敵を倒さなければならず、勝てない相手だと詰みます。追ってくる最大のシンボルの数と、マップのマス数を意識して配置しましょう。

【逃走後の処理】
 昔のブログでネフェシエルというフリゲの名作を紹介しました。このゲームは絶妙な位置にシンボルを配置し、プレイヤーに多くの驚きを与えることに成功しています。しかしながら、ひとつ大きな欠点があります。戦闘から逃走したとき、シンボルによっては間髪をいれずに再び戦闘が始まってしまうことです。これは逃げもひとつの手であるということを殺してしまっています。これを回避する場合、逃走後にシンボルが行動できないようにする処理を作る必要があります。(どうしてもプレイヤーを逃したくないなら、戦闘コマンドから逃げるそのものを排除してしまうこともできます)

【イベント中のシンボル停止】
 宝箱の入手時や会話時にもシンボルが近づいてきて、イベントが終わった瞬間戦闘開始だとプレイヤーは怒ります。イベント中はしっかりとシンボルの動きを止めておきたいです。



 以上を見る限りでも、シンボルエンカウントの設定の大変さがわかると思います。ツクールなどの初心者は、まずはランダムエンカウントでRPGを作ってみることをオススメします。しかし、シンボルエンカウントは大変さに比例してかなりの奥深さを持ち合わせています。ぜひ我こそ「ダンジョンマスターだ!」という人は挑戦してみてください。ちなみにシンボルエンカウントをサポートするスクリプトを公開しているサイトもありますのでぜひ探してみてください。

2015年5月2日土曜日

現在製作中のRPG途中経過まとめる

今回は個人用まとめ。
基礎が出来上がってきたので書き出してみる。


タイトル:未定 何案かあるが、どれもしっくりこないので保留
ジャンル:RPG
制作ソフト:RPGツクールXP
完成度:2割ほど ただしゲームバランスやシステムを吟味していたので、数字以上の意味を持つ完成度


【マップ】
エリア選択式マップ(ロマサガみたいな感じ)
進行ルートは自由で、プレイヤーが攻略順を決める
探索要素強め
シンボルエンカウント
一般の敵は青いシンボル、強敵は赤いシンボル(イストに近い)

【戦闘】
デフォルトターン制バトル(もしかしたら少しいじるかも)
戦闘計算式は非常にシンプル(ていうかXPデフォが複雑すぎ)
武器に三属性、魔法に六属性がある
敵の弱点がすぐ分かる
敵が弱った味方を集中攻撃してくる
敵がバフ、デバフをターン始めに使ってくる
ボス敵にもデバフは有効
デスペナルティはほぼなし、特定エリアから復帰

【シナリオ・世界観】
詳しくはまだ書かないが、邪道世界観を王道にした感じ
パーティも世界観に合わせ、かなりの個性派揃い
最初に仲間になるであろう二人は結構インパクトがあると思う
神器というものが物語の根幹を担っている
7つの神器を手に入れ、最終決戦に勝つことが目的
神器の入手順は自由、人によって全く違ってくるはず
仲間ひとりひとりに神器と密接な関係をもつバックストーリーがある
自由さが売りだが、フリーシナリオと呼んでいいかは不明
主人公は喋らないタイプ

【グラフィック】
基本はRTPとフリー素材を使用
パーティキャラのチップは素材改造
顔絵実装予定
一部立ち絵あり(メニュー等)
UIは大幅にいじらないつもり

【その他】
スクリプト多め
マップBGMはMIDI、戦闘BGMはMP3、一部ジングルはOGGを使用
あるアイテムの所持数で、パーティが弱体化する代わりにアイテム入手率が増える
レベル制、主人公には独自のスキル取得方法あり?


今のところこんな感じ
また何かあれば追記するかも