2017年7月8日土曜日

レジェンドオブレガシー:隠されたゲームルールに手探りで挑む、高難易度な探索RPG

どうも、ノンジャンル人生です。先日、フリューが発売したRPG『アライアンス・アライブ』をクリアしました…。めちゃくちゃ面白くて、最高でした…。

寝る間も惜しんで遊んだのは本当に久しぶりです。これは紹介しないと!と意気込んでいますが、まだまだ遊び足りていません。文章がまとまるまで、もうしばらくお待ち下さい。

ということで、今回は前作にあたる『レジェンドオブレガシー』を紹介したいと思います。ちょうどアライアンス・アライブを購入直前までプレイしていたんですが、以前とはまた違った見方が出来たので書いていこうと思います。

とりあえず先に誤解のないように説明しておくと、アライアンス・アライブとレジェンドオブレガシーはゲーム内容も難易度も全く違うので、購入する際は間違えないようお気をつけください。特にぬるくRPGを遊びたいゲーマーがレジェレガを触ると火傷します。そのくらい難易度が高い作品だと思ってください。(SFC~PS期の頃の難易度を求める人には、それこそアライアンス・アライブが断然オススメです)

主人公のひとり、フィルミア。台詞回しが格好良い。カエルなのに…。

◆冒険者を皆殺しにする島「アヴァロン」へようこそ

レジェンドオブレガシーは、かのサガシリーズのバトルデザイナー「小泉今日治」氏、イラストレーターの「小林智美」氏、作曲家の「浜渦正志」氏など、スクウェア作品に関わったクリエーターをフリューが招集して発売したRPGです。なのでロマサガライクなゲームだと思われがちですが、どちらかと言えば「世界樹の迷宮」のように物語よりもダンジョン探索に重きをおいたゲームです。七人の主人公からひとりを選び、「アヴァロン」と呼ばれる島を探索していきます。

アヴァロンの風景は、水彩画のように美しく表現されている。

本作は街「イニティウム」を拠点としてダンジョンに挑み、地図を買ったり、最奥へ辿りついたり、ボスを倒すことで次のダンジョンに挑めるようになっています。地図はダンジョンを巡ることで埋まる仕組みになっており、その地図を売ることで資金を得ることが出来ます。

戦闘はサガシリーズ(特にミンサガ以降)のゲームルールを引き継いでいます。ターン制バトル、陣形にあたるポジション、戦闘中に一定確率で覚える技、戦闘後に伸びる各ステータス、シリーズファンではおなじみのものです。それに加え、後述する「双次元バトル」と呼ばれるシステムが加わっています。

ダンジョンに生息するモンスター達はかなり手強く、しかもこちらのパーティ人数(3人)の倍近い数で襲い掛かってきます。特に相手の方が早い場合、初手大技を食らってパーティが壊滅するのはざらです。ボスの話ではありません、ザコ敵の話です。ボス戦だろうと雑魚戦だろうと、一戦に相当なターン数がかかり、常に全力投球して100%勝てるとは保証できないのがレジェンドオブレガシーの特徴です。

一切の躊躇のない多さ。もちろん雑魚戦。

しかもただでさえ強いモンスターを倒すためのハードルの高さを、「双次元バトル」に隠されたルールが更に高くしています。

◆意図的に隠されたゲームルールに気付けるかどうか

双次元バトルでは「詠う岩のかけら」を使うことで、精霊を呼び出し術を使用することが可能になります。1ターン掛かるかわりに、HPやSPの回復などのバフを受けることも出来ます。一方敵も精霊を呼び出すことがあり、こちらで呼び出した精霊が奪われてしまうことも。相手と精霊の奪い合い、自分達に有利な状況に運ぶことが戦闘で勝ち続けるための秘訣です。

双次元バトルにはもうひとつ重要な要素があります。それは戦闘の場がどの精霊の影響を受けているかを表示する「精霊秤」の存在です。精霊を呼び出したり術を使ったりすると4精霊の支配率が変わります。しかし支配率が変わったことでどんな影響があるのかはゲーム中一切説明されません。精霊の呼び出しと同じくらい重要な要素であるにも関わらずにです。ここにこそ、本作の難易度の引き上げを促している、「隠されたゲームルール」が端的に表れています。

本作ではゲームルールのすべてを説明することはありません。序盤の導入にいくつか基本的なことが示されるだけで、あとはほぼ手探りでアヴァロンを探索することになります。「星杯」へ辿り着くためにプレイヤーは何処へ向かえばいいのかも、強敵への対処方法も、各ステータスが何を示すのかも教えてくれません。例えば非常に多い敵の数を減らす方法がありますが、これも直接的な説明をしてくれません。チュートリアルでイチからすべてを教えてくれることの多い近年のゲームとは、まったく逆のアプローチをとっています。

アヴァロンの謎も、多くは語られない。断片的な情報で提示される。

シナリオ主導のゲームよりもクラシックでゲームらしいゲームと言えますが、ルールに気づかなかれば、その分プレイヤーはどんどん不利になる仕様でもあります。気づけるか否かはプレイヤーの知識や勘によってかなり差が出るはずで、RPG慣れしていないと気付きにくい部分、またはRPGの「常識」にとらわれているほど気付きにくい部分もあります。自分は初回プレイでいくつかのルールに気づかないまま進めていたため、非常に苦戦した記憶があります。

◆敵にボコボコにされたときの理不尽さと、立ち回れたときの気持ちよさ

そういったゲームバランス故に、従来のRPGのつもりでプレイして敵にボコボコにされたプレイヤーは多いと思います。戦闘に入ったら何も手を出せないまま敗北し、その理不尽さに絶望したことでしょう。成長システムの関係上、レベルを上げてゴリ押し突破することも厳しいです(ロマサガのように戦闘回数で敵が強くなることはないが、格下だとほぼ無成長で戦闘が終了する)。救済処置は、交易船によってランダムに手に入る強武器・強防具くらいでしょうか。

隠されたルールと高い難易度。こう語ると厳しさばかりのようですが、それに上手く立ち回ることが出来たときの気持ち良さこそが、本作の醍醐味と言えます。

例えばガードポジションのキャラクターが盾や武器の防御技を使うと、敵の凶悪な攻撃を高い確率でダメージ軽減や回避しまくります。しかも効果は味方全体。圧倒的な猛攻を捌く爽快感は、他のゲームにないものがあります。

盾ゲーと言えるほど盾が強い。防御、回避、反撃、直接攻撃もできる。

また、法則さえ理解すれば、敵に与えるダメージも敵から受けるダメージも思いのままにコントロールできます。敵と精霊の奪い合いで状況は常に変わり続けるので、特に後半戦では毎戦一進一退の攻防が繰り広げられます。技、装備、ポジション、双次元バトル、ありとあらゆるものを使いこなして、勝利をもぎ取るRPGは、そうそうありません。同じパターンに陥ることの少なさも魅力です。

ただし、先程のルールの気付きにくさによって、立ち回れるようになること自体の難易度が高いです。自分の場合、一周目は攻略サイトを頼ったのにも関わらず、ボロボロになりながらのクリアでした。最近久しぶりにプレイし、いろいろな情報を得て、はじめてルールを把握できたくらいです。周回プレイヤー自体けして多くないでしょうし、最後までシステムを活用できないままやめてしまった人も少なくないでしょう。

◆極端すぎる内容ではあるが、探索のロマンを感じさせるゲーム

個人的に本作で気になるのは、報酬の物足りなさでしょうか。多くのターン数をかけて戦ったのに、何の成長もドロップアイテムもなく、僅かなお金だけを手に入れて戦闘が終了することが何度もありました。また、ダンジョンを探索するのが大変なわりに、たまに出現する宝箱から手に入るものが換金アイテムばかりで、とても地味です。一応、強敵での圧倒的な成長、レアドロップ、換金アイテムを元手に交易船で手に入る装備を考えると、長期的な報酬バランスは取れているかもしれません。それでも厳しい戦闘やダンジョンを突破したのに徒労になることがあるのは、本作の残念なところです。(ちなみに開発も気にしていたのか、アライアンス・アライブではタレントと資質というかたちで解決しています) あとは術とポジション習得まで手間がかかることですかね。

無成長な時がある一方、いわゆる「道場」敵相手には極端な成長を遂げる

本作をオススメしたいプレイヤーは、ゲームを手探りで攻略したい方です。ゲームの方からあれこれ指示されるのではなく、どこへ向かえばいいか、どうすれば強くなれるのか、どうすれば敵に勝てるのかを、システムレベルで推測しようとするプレイヤーなら、手応えのある体験が出来ると思います。

また、本来なら逆かもしれませんが、アライアンス・アライブの戦闘の高難易度版を遊んでみたい方にもオススメです。より少ないパーティ人数の制限下の中で、いかに場をコントロールして敵を撃破する感覚は、アライアンスアライブ以上のギリギリ感を味わえると思います。ただし前途の通りシナリオ要素が少ないので、キャラクター同士の掛け合いやドラマチックな展開は、後作よりもだいぶ控えめだと思ってください。

以上がレジェンドオブレガシーの内容です。これまではプレイヤーを突き放しすぎて色々もったいないゲームだと思っていましたが、再び遊んで、戦術性の高さと気持ち良さを知ることが出来て良かったです。

そういえばはじめてレガシーのオープニングを見た時、テキスト回しやビジュアルと言った雰囲気作りがかなり良くて惹かれたのを思い出しました。続編を作って欲しいとずっと思っていたので、その願いが叶って本当に良かったです。しかも『アライアンス・アライブ』という大傑作の形で。

レジェンドオブレガシーは、けして世間的評価の高いゲームではありません。しかしこの作品では、未知なる島を手探りで探索するロマンを感じることが出来ます。雰囲気作りも、ゲームデザインも、厳しい難易度も、アヴァロンという島に血肉を与えるものです。腕に覚えがあるプレイヤーは、ぜひ頑張って挑戦してみてください。ではでは。

険しい旅路の終わりには、見果てぬロマンが待っている。