2015年4月1日水曜日

フリゲRPG「ふしぎの城のヘレン」 : 小さな問題を解かせ続ける価値

少し間が開きました。
記事読み返すたび、自分の話がブレブレな気がして困り果てます。

まぁ、戦術の話なのにランダム要素の部分に絞って話してしまったのは、どうしてもこのゲームについて紹介したかったからです。

RPGツクール2000で作られた短編RPG「ふしぎの城のヘレン」です。


製作者はさつ氏。もともとはVIPRPGから出てきたゲームですが、現在では世界に向けて配信されているというすごい経歴を持った一品です。このゲームを調べていくと、RPGファンから絶賛の声が聞かれることが多く、気になって僕も始めてみました。


このゲームの特徴として、

ドットがよく動く、ツクールのRTP素材のキャラクター達
・思考性が高く、ランダム要素を排除した、1対1の戦闘

が挙げられます。他にも、探索要素が高いマップや、進むにつれ謎が明らかになってゆくストーリーの完成度も高いです。

しかし、なんといっても戦闘が面白いです。
ゲームルールはだいたいこんな感じ↓

①まず主人公ヘレンは探索で剣や盾などのアイテムを集める。所持できる数は8つまで。
②戦闘では、所持したアイテムを選択して戦ってゆく。
 アイテムにはそれぞれ攻撃力・防御力・待機ウェイトが設定されている。
③選んだアイテムのウェイトが0になると、ヘレンは攻撃力の分相手にダメージを与えられる。
 ウェイト中に自分が受けた攻撃は、防御力の分ダメージが軽減される。
④行動後は再び、次に使うアイテムを選べる。
⑤敵も同じように行動してくる。
⑥先に相手を倒すと勝利になる。

 

他のRPGとだいぶルールは違いますが、触ってみると感覚的に戦い方がわかってきます。例えば敵が攻撃する前にウェイトの少ない弓で連撃し、攻撃を受ける直前に盾を使うとダメージ0で相手を倒すことが出来ます。このダメージ0はなかなか爽快。ただしこの戦法だけですべて勝てるわけではありません。

・防御しながら攻撃できる剣は、威力の弱い弓に強い
・連射性に優れる弓は、防御力の低い魔法に強い
・防御を無視して攻撃できる魔法は、攻撃の出来ない盾に強い
・防御力の高い盾は、決定打の低い剣に強い

など、アイテムごとのメリット・デメリットがあります。そして敵も同じようにいろいろなタイプの技を使ってきます。一戦一ターンごとに最善の戦い方を考える必要があり、プレイヤーに戦術性が求められてきます。攻撃は運よくクリティカルしませんし、後半になると敵はこちらの行動を見て最適な行動を選択してきます。前回の記事ではランダム要素の問題を書きましたが、これらのデメリットをほぼ解決しています。分散した無駄な行動はしてきません。そのため「たまたま勝てた」というパターンが起こりません。運の介在が少ないからこそ、相手の行動を読むことが重要になり、考える楽しさが生まれます。


このゲームを触ることで、気づいたことがありました。RPGで単純なパターンやたまたま勝てる要素が強いと、ゲームに考える要素は必要無くなり、つまらなくなります。しかしプレイヤーにさまざまな状況を与え、解決するための方法を自分で考えさせることで、ゲーム性は一気に変わります。

ヘレンの場合、与えられた問題を解くための道筋はけして難しくはありません。しかしそのシンプルさが、一戦ごとに小さな達成感を与え、ゲームを最後まで続けさせるモチベーションを生み出しています。公式サイトには「少しだけ考えるRPG」と紹介していますが、まさに、すべてのRPGが持つべき大切な要素なのかもしれません。


このブログではRPGの戦術について考察していますが、ゲームを作る上でなんでそんなものが必要なのかって言うと、プレイヤーを楽しませ続けるためなんです。「RPGのザコ戦はつまらない」という話はよく聞きますが、これを言わせてしまうことは本当はダメなんですよね。ヘレンのように小さな問題を解かせ続けることは、RPGが進化の過程で忘れてきた大切なことなのだと思います。だからこそ、それが見直されればRPGはもっと面白くなります。まだまだ可能性があるんです。

このゲームは初心者から上級者までだれでも楽しめることが出来ます。安心してプレイしてください。プレイ時間は短いため、もしかしたら遊び足りないかもしれません。でもそう思ったら、すでに作者の思うつぼでしょう。


ふしぎの城のヘレン ダウンロード先
http://www.geocities.jp/i_to_may/

ふしぎの城のヘレン プラス (PLAYISM) 拡張有料版
http://playism.jp/game/153/helens-mysterious-castle