今回ちょっとどうしても取り上げたいゲームがあってキーボードを叩いています。去年末に発表されたフリーゲーム『ALICE HOLE』。記憶を失った主人公のアリスを操作し、巨大なダンジョンに挑むRPGです。
で、普段だったらちゃんと記事化して紹介するところなんだけども、最後までやりきった熱量が冷めぬ内に一気に書ききったほうがいいと思って書いています。
というのも、今までプレイしたフリゲの中でも最高クラスのハマり方をした一方で、完全クリア後にどうしてもモヤモヤする部分も残ったからです。なので今回は良い点悪い点もガッツリ書いていこうと思います。(後半はネタバレ込みなので、現在プレイしている人は注意!)
良い点
・面白い。圧倒的に面白い。30時間+10時間熱中したくらいに面白い。(リトライ含めると更に+10時間)
・ネフェシエル・イストワールのゲームルールをオマージュし、これらの作品の楽しさを完全に再現している。
・ダンジョンの完成度が異様に高い。大量のモンスター、大量の宝箱、マップ構成、どこを取ってもレベルデザインが徹底的になされている。
・モンスターの挙動。動きがとても面白い。ぴょんぴょん跳ねるクラゲが大量にいるの、めっちゃワクワクする。
・いつでも帰還できるから、本家よりもリトライがしやすい。デスペナルティは大きいけど、もう帰還した方がいいか、もっと探索できるんじゃないかの駆け引きが生まれて熱い。
・テキストセンスが神がかっている。特に装備のフレーバーテキストはバックグラウンドストーリーとリンクしており、いろいろ想像の余地があって良い。それが凄まじい数あるんだから恐れ入る。
・四人の王の話が非常に引き込まれる。どれも先が気になる展開が続き、はやく本を全部集めたくなった。どの話もワクワクする。文章も上手い。
・仲間になる心象。ちょっとした会話劇なんだけど、それでも個性立っていて愛着が湧く。スキル構成も個性にあっている。
・バトルの面白さ。本家ネフェイストの耐性装備パズルを整理し、宝を見つけて強化する楽しさが一層磨かれている。敵の攻撃もバリエーション豊かで、「あいつを倒すためにどう対策するか」考えるのが楽しい!
・敵を撃破するとシンボルがいなくなる。どんなに厳しいマップでも時間さえかければ到達することが出来るのは、シンボルエンカウントの抱える問題に切り込んでいる。
・雰囲気作りがよい。音楽が本家を思い出す選曲になっている。メインテーマになる曲も要所要所に流れるから使い方が上手い。
・これだけの内容で数十時間遊べるフリーゲームは破格。
悪い点
・再エンカウント問題。敵から逃走した時にキー入力を押しっぱなしだと同じ敵と再び戦闘が始まってしまうことに。すり抜け型の敵だと、逆にキー入力しないと再エンカウントしてしまう。
・低いバージョンのときから始めたこともあり、バグによく遭遇した。ウディタ特有のエラーも。
・倒したシンボルがいなくなるのは良いことだけど、レアドロップ持ちもいるので、取り逃す可能性がある。(とは言え、敵数は相当多いから大半手に入るけど)
・本家ネフェイストをオマージュしているので、ゲーム初心者は門前払いの内容。大量のエンカウントシンボルや謎解き、強いボス敵などRPG慣れしている人でも唸るレベルなので、ドラクエくらいしかやったことない人にとってはかなり厳しいかもしれない。その代わりやりごたえは十分。
(悪い部分はあんまり書いていないけど、ネタバレ込みなものが多いのでここに書けるものは少ない)
以降はネタバレ前提なので、既に完全クリアした方向けです。
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良い点(ネタバレ)
・ラストダンジョンの驚き。それまでの雰囲気とガラッと変わって「マジか!」と思った。
・そこまで散々ネフェイストのオマージュであることをアピールしているのに、ラスダンで独自色を出すのは良い意味で裏切られた。
・禁書庫の隠し部屋・最終戦前など、ぞわっとする演出。クトゥルフ的な恐怖がある。
・克服する度にやばい要素が出てきて、「あれ…?これやばいやつじゃね?」とハラハラさせてくれる。
・世界の真相を語るメイドたち。語り口が良い。
悪い点(ネタバレ)
・周回エンド構成と長編ダンジョンRPGの組み合わせの悪さ。普通にプレイするならノーマルエンド→克服エンド→共感エンドに行く想定なんだけど、ノーマル・克服から共感エンドに行くにはセーブデータが残っていない限り必ず2週以上しなくてはいけない。長い時間をかけて克服集めした後に別のエンディングを促されて、また最初から始めなくてはいけない。逆に一度でコンプリートしようとすると共感→ノーマル→克服なんだけど、これだと明らかに想定された順序ではないのもネック。短編ならまだしも、長編、しかもダンジョンRPGでこれをやるのはいくらなんでもプレイヤーの負担が大きすぎる。自分は楽しかったから問題なく出来たけど、やり慣れていない人はついてくるだろうか…?(イストはなんだかんだで初回でも大団円だったし)
※追記:周回する場合それまでの実績を引き継いで装備の購入などを行える。1週目の攻略ノウハウが活かされるので、プレイ時間は大幅短縮される。自分の場合はマイナス20時間(!)
・克服するための作業感。克服条件は雑魚戦の繰り返しなんだけど、想定された数がかなり多い。ハクスラ的な快感はあるものの、やはり終盤でだれてしまうのは否めない。上記の周回エンドとの相性も悪い。ただしこれは作業していく間に自分の感情もスッと消えていったように思えたので、プレイヤーとアリスを一致させる上では間違っていないのも確か。
・共感エンドで大団円になるんだけど、謎がすべて明かされた感がない。主人公の問題は解決するけど、そもそもあの世界はなんだったんだと言う疑問が残る。特にラスダン前のファンタジー世界はものすごく丁寧に書かれていたのに、ほとんどかなぐり捨てた如く語られないのは非常にもったいない。聖王の心に巣食っていた心象の正体は何だったんだ…?フランシスカは結局何者?とか。
・共感エンドラストバトルがUndertaleと被って見えた。作者さんが想定していたかは不明だけど、それまでオマージュ要素はほとんどなかったので、「あれ?」と思った。
※追記:全部で3エンド。まだ未完成のところがあり、夏頃に謎に迫る別の物語を製作中だそう(形式は不明)。期待大!!
こんなかんじです。新年早々すごいゲームを見つけてしまった…。GOTYのゼルダを中断させて遊ばせてしまう程夢中になりました。コンプまで恐ろしいほど大変さだし、もやつくところもあったんだけど、悔しいかな、最後の最後まで惹きつけられてしまいました。今から挑む人はがんばってください。ではでは。